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短歌人 2019年1月号  臭ふがごとく
「ライターさん」と呼ばれるときにざらつけるこころは投稿せずに寝かせる
 
「日本酒に詳しい人」と決めつけて手伝へといふ不届者は
 
嫌ひではないが「女性や外国人に受けるストーリー」なぞ語れるか、あほか
 
ストーリーなぞといふ言葉世の中でもつとも憎み生きてゆきたし
 
踊らされ、否、頼まれもせず踊る「奈良を愛する」人らの踊り
 
奈良がすき奈良はきらひといふことの誰にも語らず死んでゆきたし
 
青丹よし奈良の都のストーリー臭ふがごとく今盛りなり
 
勺 禰子(しゃく・ねこ)

臭ふがごとく

奈良が好き
【2018/12/31 01:30】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
短歌人 2018年12月号  落慶法要
   その日興福寺中金堂は
三〇一年ぶり八度目の落慶の感懐を聞いてみたい。不比等に
 
建てては燃え建てては焼かれまた建てて藤原氏の寺の凄みよ
 
六十億円のクラウドファンディングもとゐ寄進に輝く堂宇
 
法要は目前に恙なく進みその横の巨大画面に見入る
 
「天平の文化空間の再構成」合言葉によぎる「日本を、取り戻す。」
 
   鳥取や高岡は盛大も藤原の地なれば
生誕千三百年の祝ひもなく影薄き男、大伴家持
 
「万葉」と「まほろば」言葉だけ溢れ寧楽に歌取り返すべきかは
 
勺 禰子(しゃく・ねこ)

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【2018/12/01 19:17】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
短歌人 2018年11月号  声をきく秋
佐保山に鳴く鹿の声聞きながら文字を打つ宵 秋は来にけり
 
父のゐた秋、ゐない秋、夏冬に顔出すだけの娘ゆゑ変はらず
 
ニッポンを遠巻きにして進みゆく「猛烈な台風」その風をおもふ
 
声をきく季節は秋と思ふまで澄まさぬ耳に届くこもごも
 
勺 禰子(しゃく・ねこ)

 
  
今月は4首しか提出できませんでした…。
短歌人11月号は充実の特集や夏季集会の記録など、ボリューミーです。
見本誌などは、短歌人HPから取り寄せることができます。
短歌人の「ことあげ」が好きです。
結社に入会をお考えの方がいらっしゃいましたら、
ぜひ読んでいただきたい一文なので、下にコピーしてしまいます。
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「短歌人」は短歌を愛好する個人の集合体です。
それ以上でも以下でもありません。
特定の作歌理念のようなものはどこにも掲げません。
そういうことは各自が各自なりに考えること、と考えます。
「短歌人」は「指導」も「干渉」もしません。
実作するものは実作するもの自身の考えと、工夫と、意欲がすべてです。

入会される人は次の3つの義務を負います。

第一、会費を納入すること。
第二、作品を書くこと。
第三、出来る範囲でいいですから、会の運営のため何らかの手助けを心掛けていただくこと。

一切すべてが無報酬のボランティア活動によって動いているからです。
「短歌人」は、主体的な意欲をもち、それぞれの動機を大切にして、あたらしい短歌を作り、
その向上を目指す方々に最大限の場を提供します。

一緒にやっていきましょう。
 
「短歌人」編集委員会
発行人 川田由布子
編集人 藤原龍一郎

短歌人会
【2018/10/29 23:15】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
短歌人 2018年10月号  壇上で手酌
伝へたいこと手際よく言へぬまま壇上に水を手酌して飲む

   佐保大納言邸は町内にて
家持のあんたは何やと訊かれれば何もないのに日ごと気になる
 
佐保川を南へ北へ行き来して暮らす吾らは物をこそ思へ
 
くやしさが私にもまだあつたのだ惜しかつたねと不意に告げられ
 
「やらされモードではなく死ぬほど実現したい意識」あほかと思ひつつ探す
 
喉元を過ぎた意欲と悔しさを澄まず濁らぬ池へ放ちぬ
 
生え際の抜いても生える白髪抜く たかが白いといふだけで抜く
 
勺 禰子(しゃく・ねこ)

澄まず濁らず猿沢池

【2018/09/29 18:04】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
短歌人 2018年9月号  まとめきれない
平成が来年五月より早く終はる「もしも」を誰も言はない
 
壇上の木村草太は滔々と語るさなかを「決めれる」と言ふ
 
閉館のチャイムが追いかける中を刀の妖しき肌眺めゆく
 
   七号の名はプラピルーン(雨の神)
台風がまとめきれずに置き去りにされた雲から生まれて止まぬ
 
「温厚で真面目な人」ばかりが死ぬ 残りの顔はいづこにか行く
 
蝉が鳴き鶯が鳴き鹿が鳴く佐保山の脇にひねもす居れば
 
                     勺 禰子(しゃく・ねこ)
【2018/09/01 16:26】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
短歌人 2018年8月号  鹿でなく猫
鹿でなく猫
 
一年と半年を経てまだ畏れつつこの町を歩むことあり
 
缶チューハイ買ひにゆく道すがら聴く興福寺の午後六時の鐘を
 
間隔のかなり開くゆゑ何回か未だ知らざる鐘を撞く数
 
冬の月は若草山に出て秋は御笠の山に出でし月かも
 
  天平勝宝四年鋳造東大寺大鐘
奈良太郎が響ませてゐる風強き夜の八時の吾と茅屋
 
  神護景雲二年春日大社創建
十六年後の終焉を知らざるや鹿島立神影の憂愁
 
  創建一二五〇年記念特別展
鹿でなく猫のかがやく国宝の金地螺鈿毛抜形太刀の鞘
 
                        勺 禰子(しゃく・ねこ)

金地螺鈿毛抜形太刀

【2018/08/01 15:05】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
歌集上梓から一年
2007年に短歌人に入会して以降
10年分の歌を一冊の歌集にして、1年経ちました。
いろいろな場所で取り上げてもいただき、
今年2月には批評会も盛大に開いていただき、
改めて「残そうという意思を持って編み直す」ことの大切さを知ったように思います。

昨年末には「現代歌人集会賞」で次点だったことを教えて頂き、
先日は「現代歌人協会賞」でも次点だったことを教えて頂きました。
本当にありがとうございました。
どこにも記録は残りませんが、昨年度の栄えある次点歌人です(笑)。
これ以上ないポジションを頂きました。

今日を区切りに、また心機一転、とにかく、死ぬまで、
歌から離れることなく生きてゆければと思っています。
拙い歌集を丁寧にお読みくださったすべてのみなさまに、
改めて御礼申し上げます。今後ともよろしくお願い申し上げます。

勺 禰子(しゃく・ねこ)

現代歌人協会賞

現代歌人集会賞

※画像はクリックして頂くと大きくなります。

月に射されたままのからだで
現代歌人協会賞2018-1
現代歌人協会賞2018-2

【2018/07/05 16:51】 | 日々雑記 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
短歌人 2018年7月号  春のまぼろし
「芍薬のくさかんむりのない字です」勺を電話で説明するとき
 
「俳句のクつてありますよね、その中の口をテンにしたのが勺です」とも言ふ
 
乗つてゐる人みなももいろクローバーZ見にゆく春のまぼろし
 
一斉に咲いてもう惨めなつつじ踏みしだかれることもないまま
 
たわわなる我が二の腕は五月四日を今季初とし蚊に咬まれたり
 
名前で呼んであげたいと思ふ七歳が何度も姓で呼ばれるニュース
 
勺 禰子(しゃく・ねこ)
【2018/06/28 16:29】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
短歌人 2018年6月号  桜の森・西安の森
すぐそこの桜の森が満開でこはくてとても見にゆけません

観客のやうに競技場のぐるり埋め尽くし嵩を増しゆく桜

満開の桜しづかな熱狂をはらみて繰り返される出陣

奈良市と西安市が姉妹都市なれば
西安の森とふ小高き山の上に不比等をるらし顕彰碑あり

佐保山の一部を占める西安の森の峠ゆ外京を眺む

西安の森の峠の入口で鹿に出遭へば見つめあふ夜

峠にて拾ふ「十一時ホテルべんきやう部屋二六歳人妻」の紙片

勺 禰子(しゃく・ねこ)

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【2018/06/04 20:22】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
短歌人 2018年5月号  二月堂服忌令
父母五十日夫三十日鹿百日妻は二十日の忌中とありぬ
 
忌の過ぎて服喪にあれば結界に入れる諸説はあれど遠慮す
 
ストーブの揺れる炎に耳を寄せめりめりとお松明呼び寄せる
 
ニュースフィードに修二会の記録は流れゆき部屋居の吾のひと日は終はる
 
お松明よりも耀く何百のスマートフォンの冷たいひかり
 
二週間ひたすらに祈る悔過法要はじまりは鎮護国家のこはさ
 
加供帳(かくちやう)に六年読み上げられてなほ罪過あまねく総理大臣
 
                        勺 禰子(しゃく・ねこ)


※先日、とあるところで上司永照師にお目にかかり、
  服忌について改めて伺いましたところ、
  父母はやはり1年控えた方がよいとのこと。
  妻と夫の服忌の長短については、時代柄見直し今は同じとのことです。
  もちろん知らずに入った人は仕方がないし、
  忌中が穢れているからということではなく、
  あくまで「遠慮しておく」という意味合いでとのこと。
 
  写真は『東大寺お水取り―二月堂修二会の記録と研究』(小学館)より。

二月堂服忌令s


【2018/04/28 14:25】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
短歌人 2018年4月号  思ひ出す事など
予報では曇りのはずが雨音が確かに聞こえてくる午前二時
 
すぐ冷めてしまふ半戸外の風呂をふたたび沸かす音をひそめて
 
ふと思ひ出す二十世紀後半のあれはセクシャルハラスメントとも知らず
 
得意先のすこし助兵衛なおぢさんと思へばにこやかに捌きゐたりき
 
帰省しては吾に与へし醤油豆つひに食べざりき思ひ入れなければ
 
この携帯を使ひなさいと新品を渡され怖くて抽斗に仕舞ふ
 
半年を開封されず置かれゐし携帯電話の行方覚えず
 
勺 禰子(しゃく・ねこ)
【2018/03/28 10:38】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
短歌人 2018年3月号  恋の顛末
※今月は月例詠草ではなく、巻頭の「3月の二人」というコーナーに、
  春野りりんさんと一緒にそれぞれ14首ずつ掲載いただきました。
  来月号にお互いの評が掲載されます。
 
 恋の顛末
 
   おそらく明治三十二、三年頃
駈落ちをして新宮を遠ざかる曾祖父母を射す峠の夕日

   宮大工と神社の娘と聞きしかど
戸籍には「ひさ」と載りしが曾祖母は「マツ」と呼ばれてその人は誰
 
和歌浦に身投げ心中したといふ大伯父と眠る小菊とは誰
 
初読時は色も匂ひも味も知らずにゐた『枯木灘』冒頭の茶がゆ
 
紀伊半島を中上健次は下半身と言ひ性のメタファいや性の現実と言ふ
 
半島を巡る一統のものがたり訊き損ね皆死んでしまへり
 
   『紀州 木の国・根の国物語』
本を頼りに週末ごとに半島を経巡りし過去を忘れてはならず
 
中辺路で媼と翁に出遭ひたれば烈しき恋の顛末を聞く
 
三人の子を置き出奔したといふもこの半島に仕組まれしこと
 
あらたに子を生しし媼は唐突にうちの嫁にならんかと妖しく笑ふ
 
餓鬼阿弥の土車引く一行と擦れ違ひたり 夢にはあらず
 
   道義とは踏み行ふべき正しい道とかや
踏み行ふとは何か踏みつつ何か行ふ動作ふたつの時差を思へり
 
吾は何を見込まれたのか今となれば吾は気づいてゐたと気づきぬ
 
あるべきやうに大地は踏み分けられてゆく道ならぬものがつくりだす道
 
                         勺 禰子(しゃく・ねこ)

クリックすると大きくなります。
201803短歌人3月の二人「恋の顛末」勺禰子
【2018/02/27 19:18】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
短歌人 2018年2月号  父のジャケット
右足のふくらみを綿で創り出す「清浄整姿」の有本さんは
 
こんな格好で母に介抱されてゐた酔つて帰つてきた夜更けなど
 
ツイードのお気に入りのジャケットを着せられて寝てゐるやうに死んでゐる父
 
ナッキンコールのトゥ・ヤング流し夜伽する父の歌声思ひ出しつつ
 
17番基火葬炉のボタン恙なく押されて朝一番の骨上げ
 
焼け落ちた枕の高さ分だけを下顎骨は真上を向いて
 
先にあの世にゆきし右足取り戻し盃重ねてゐるなり父は
 
勺 禰子(しゃく・ねこ)

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【2017年11月28日付 会葬礼状】

「おつかれさま、やっと楽になったね。
天国で美味しいお酒を存分に飲んでくださいね」

前日の日曜日、大相撲九州場所千秋楽を見て楽しんでいましたね。
その後、好きな魚の煮付けを食べ、いつもどおり就寝しました。
翌十一月二十七日、午前三時頃、
「よく眠れなかったので、いつもよりゆっくり寝る」と言いながら、
結局、六時半起床、七時過ぎにいつもどおり血糖値を測り、
インシュリン注射をし、朝食の準備をしました。
自家製梅干しと漬物でお粥さん、
大阪の老舗「神宗」の昆布をほんの少々、
デザートに缶詰のみかんを食べました。

それから、しばらくしたとき、
「うー」という声が聞こえ、
慌てて部屋に見に行くと、仰向けに倒れていました。
それが、最後でした。

いろいろな病気のおかげで、食事制限が大変で、
食べたいものばかり食べていいわけではありませんでしたが、
この日の朝食は、本当に好きなものばかりでぺろりと完食しました。
最後に、好きなものをお腹いっぱい食べて、旅だったお父さん。
天国では、先にあの世に送り出した右足を取り戻して、
美味しいお酒を存分に飲みに行ってください。

生前多くのご厚情を賜りました皆様へ、
深く感謝を申し上げます。
今後とも今までと変わりなきご厚誼を賜りますよう、
よろしくお願い申し上げます。
本日のご会葬、誠にありがとうございました。
略儀ながら書状にてお礼申し上げます。
【2018/01/30 00:22】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
短歌人 2018年1月号  まみれる
手をつけてをらぬ仕事に礼状が届きて震へ上がる冬の日
 
俗世まみれの手紙を送りつけてくる人が俗世を怖いといへり
 
よまないといけない言葉しんどくてよみたい言葉だけをよみたい
 
しんどいを翻訳すればしんどいはつらいくるしいと真面目な顔をす
 
まみれるとまみえるは似て距離感の違ひに思ひを馳せてゐる夜
 
まみれた夜もまみえた夜も恐らくはありなむ今生もさうでない夜も
 
定型におさまらぬ言葉あふれ出ですり切り棒にて捨てる何勺
 
勺 禰子(しゃく・ねこ)
【2017/12/30 20:45】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
短歌人 2017年12月号  転害会(てがいえ)
     手向山八幡宮御例大祭
このたびは幣もとりあへず手向山へ急ぐ寝起きの顔持ち上げて

青い目の禰宜玉串を恙なく渡し終はりて床几に坐る

常思ふ不思議「カシコミカシコミモ、マヲスゥ」モとマの切り離されて

御簾めくりうをううをうと呼びやれば神とは印象操作に在れり

笙の譜にスマートフォンは置かれゐてJアラートを待ちゐたりけり

重衡の兵火に残る転害門前に地鎮の舞は舞はれて

背景にスマホスマホが写り込み吾もその人たちの被写体

                    勺 禰子(しゃく・ねこ)

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【2017/12/08 15:42】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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