月蝕
『性急な満ち欠け明かせないとでもいうように幕を閉ざして蝕は』 禰子

朝の天気予報をみて、まったく諦めていた月蝕は、
夕焼け空で思わせぶりにさせて、
結局のところほんのわずか 皆既月食の終わるころ
赤いぼんやりとした影を少しだけみせてくれた。

さっきベランダに出たら、雲の切れ目にくっきりと満月。
それも数十秒で雲の上にどんどん昇っていってしまい、
その漏れてくる光が雲を少し明るくしている。
【2007/08/28 22:32】 | 日々雑記 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
夏の空
『一点の曇りなき空 咎という言葉たくみにかくされている』 禰子

もののけ姫』でアシタカが、
呪いを引き継ぐ原因となった鉄のつぶての出処を探しに西へ向かったとき、
真実を知ってそなたはどうする?と問われ、
「曇りなき眼(まなこ)で見定め、決める」と言った。
タタラ場の女主人・エボシ御前は、
「曇りなき眼・・・アハハハッ、 わかった。 ついてこい」と
真剣な眼でその言葉を聞きながらも、一度高笑いする。
そして、鉄のつぶてをつくっている場所へアシタカを連れてゆく。
この国で何が起こっているかをみせるために。

「曇りなき眼」なぞどいう青臭い言葉を、真剣に吐くアシタカ。
「曇りなき眼」が本当には、あまり有り得ないことを十分に知ってきていて、
それでもその言葉を放つアシタカを信じてもいいと思うエボシ。
それぞれに立場も了解の仕方も違うかもしれないけれど、
「曇りなき眼」の力について知っている、知ろうとしている。
そういう、さりげない場面にも、
自然な流れの帰結としての言葉があてはめられていて、
この映画を深いものにしていると思う。


一つ歳を重ねた。
いままでふわふわと浮いてまとまりのなかったものたちが、
少しずつ方向を見定めてきた、ように思うときもある。
でも、アシタカの透明さも、エボシの強さも、
それはある種のイデアのように屹立しているもので、
弱っちょろい人間のわたくしは、
そのイデアを少しだけは感じられるものとして、
曇りなき空とまったき太陽をみると、少しどきっとする。

『全力を尽くせ!と夏の太陽に心残りが言わせておりぬ』 禰子


【2007/08/12 08:58】 | 日々雑記 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
車窓から
『あいりん福祉労働センター 夕闇の底ひに灯りはじめるひかり』 禰子

夕方までかかった打合わせからとりあえず束の間開放されて、
西日にくるりと背を向け、急行からずっと窓の下を覗いていた。

もごもごと動いている影がたくさん。
昼間見るとダンボールの上であまり動かない人たちが、
スローながら あちこち動き回っている。
まわりを犬や猫たちがじゃれて、ゴミのつみあがった山の上に駆け上がっていく。
高架上の電車から見たその景色の、陰翳のきわだち方に、急に心臓が高鳴った。

隣の今宮戎では、こどもえびす をしていた。
雪を運んできて橇で滑ったり。モノを消費することに慣れた人たち。

次々に流れてゆく風景に、時空の中を駆け巡っているみたいになって、
昨日でも今日でも明日でもいいような、事務所へ戻った。
【2007/08/03 06:50】 | ディープ大阪 | トラックバック(0) | コメント(3) | page top↑
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