短歌人 2013年5月号
オフィス街の昼休みに行くフォトサロンオアシスじみてみな観覧す

シワ・タルミ・ワキガ・シミ・アザ片仮名が被差別感を煽る看板

折口を検索すればグーグルは矢嶋博士をひそとやしなふ

大阪の冬空のもと鮮やかに亀山モデルは家々に稼働し

電柱に「質取り吉川」ならびゆく吉は士ではなく土の吉なり

書き留めてあるがどこだかわからない「伏見運送の前のボタ山」

山腹に速度上げつつ吸はれゆく浪速の風にあふられながら

                  勺 禰子(しゃく・ねこ)
【2013/04/28 09:02】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「それは自明か」 短歌人2013.1月号 スピーチタイム〈1〉
最近ブログ更新までエネルギーが届いておらないシャクですm(_ _)m・・・

「短歌人」は私が入っている短歌結社・短歌人会が
月1回出している短歌雑誌です(購読可能)。
短歌人会は創立74年目、全国に700名ほどの会員がいます。
「結社」というとみなさんはすぐに「秘密結社」を思い出す?
もしくはなんだか堅苦しい「師匠」が一挙手一投足?一字一句、
口出しされてくる印象をお持ちの方も?(笑)

私は他の結社のシステムがいまいちわかっていませんが
短歌人は他の結社と明らかにちがうところがあります。

「主宰」がいないことです。

編集人はいますが、基本は15人前後の編集委員のうち
誰でも、自分が好きな人に詠草を送るという、
(しかもその編集委員は選挙で選ぶ)
たぶんちょっと変わった結社です。

短歌人には3つの義務があります。
•第一、会費を納入すること。
•第二、作品を書くこと。
•第三、出来る範囲でいいですから、
    会の運営のため何らかの手助けを心掛けていただくこと。


一切すべてが無報酬のボランティア活動によって動いているからです。

なんと明瞭でしょう。
これを戦中から貫いてきたのですから、
ほんとに所属結社ながらほれぼれします。

詳しくはこちらを。そしてご興味のある方は購読または入会を。

毎月の歌以外に、
短歌人誌では評論やコラム、多彩な特集があります。
読み物としてもかなりおもろいのです。

上記の3つの義務の元、
原稿の依頼が来たら、どんなことがあっても書かねばなりません。
今年は「スピーチタイム」という自由コラム欄に
隔月で書かせてもらうことになりました。

ということで、若干WEBに載せるには内容に問題アリですが…
ま、ええかwということで載せていきます。

最初は6回分一気に書くつもりだったのですが、
途中で逡巡しだして、最後がどうなっていくか
誰にも(私にも)わかりません(苦笑)。

それでは第1回をば。

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「それは自明か」
          勺 禰子(しゃく・ねこ)
          「短歌人」2013年1月号 スピーチタイム
     
2011年1月末、
大阪は御堂筋の、かつて船場と呼ばれたビジネス街の一角にある
老舗うどんすき店の3階。
谷崎潤一郎も舌鼓を打ったというその味も、
最近はなんとなくくたびれた味になってきたと思ったのは気のせいか。

「絵画や詩なら理解者のないまま死んでしまっても再評価されるかもしれないけど、
同時代の人に共感してもらえないような短歌が日の目を見るなんて
未来永劫ありえないわよっ。そんなもん、ただの日記の垂れ流しでしょっ」。

本業とは別に脚本家を目指しているという女社長の経営する制作会社で、
2か月前から働きだしたS・Nは、
面接の雑談で短歌をすると口走ってしまったことを後悔しはじめていた。
女社長は
「仕事仲間で短歌をしてる人がいるのよ。今度一緒に飲みに行きましょう!」
といい、その仕事仲間のKさんが別の歌人も連れてきて、
なぜだか5人中4人が短詩型に携わる人という、
仕事がらみにしては異色な新年会になってしまった。

先ほどのセリフは宴たけなわ、
名物うどんすきの出汁(だし)の中で、
浅蜊がやっと成仏、とばかりに口を開きだしたころだった。

短詩型4人は「そうかもしれないですねぇ」と、
大した反論もせず微笑んでいた
(私、もといS・Nは入社して間がないのでとりあえず静観)。

なぜ微笑んでいたのか。
どうして熱く反論しなかったのか。
女社長の雄叫びに対して「答えは自明」であり、
「わからん人にはわからんでいい」と鼻で笑っていればいいからだろうか。

気を良くした女社長はさらに、
「シナリオ学校に通ってる人たちは全員がプロを目指しているのよ。
短歌のような趣味じゃないんだから!」と
鼻息を荒くしてチューハイを飲んでいる。

そもそも私たちは「自明」であるはずの短歌という詩型の存在意義を、
この女社長に説明する義務があるのだろうか、ないのだろうか。

続く

【2013/04/17 11:18】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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