短歌人 2014年6月号 「奈良公園」
氷室講

迷ひとは無縁の速度を保ちつつ目白抜けゆく小さき山門

佇まひに威厳は充ちて凍氷商組合氷室講の燈籠

「奈良みやげ百貨」の閉じた木戸の奥「各種フィルム」は今し褪せゆく

防火用バケツに顔を埋めつつ鹿のお尻は無防備すぎる

牡鹿の四倍生息するといふ牝鹿七三〇頭ゐる春の公園

子を二人連れゆくをんなが「コースケくーん」と呼べば大人のをとこが応ふる

葉ざくらに執ねく残る花びらは雨に襤褸の不様を愛す

二月堂裏の垂木に高々と吉大夫の千社札一枚

みやげ百貨 二月堂

二月堂横 バケツ
【2014/06/02 22:37】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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