記憶
『ひんやりと夜があけゆけば蒼天の夏の初日に何度でも居る』 禰子
 
今年の夏は空をよく眺めた。
梅雨が明けた日の朝のことを、はっきりと覚えている。
夏の空って、こんなに高くて澄んでいたかな、と思うような、
ほんとうに不思議な蒼さだった。

もう、むかしみたいに『何も孕めずただ青い空』なんてたぶんいわない。
いろんなものを内包していないとあんな蒼にはならないって、
いまなら少しはわかる。

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小学2年のころ、家の増築のために大工さんがきた。
たぶん一月以上はかかったと思うのだが、
壁の一辺を壊したのに、その部分をシートかなにかで覆ったまま、
そのまま住んでいた、と記憶している。
(時代のせいか、玄関に鍵なぞかけたことのない地域性のせいか?
今なら確実に一時引越ししているんだろうけど、近くにおばぁちゃん家があるのに、
そんなこと誰も考えもしなかったんだろう、きっと。)
毎日、学校から帰ると大工さんとおしゃべりするのが楽しみだった。
カンナで削った木屑を、「ほら、ふりかけやでぇ」ともらうと、
たちまち楽しいままごとの始まり。
今でも木材のちょっと湿ったような匂いは、
あっという間に私を小学2年生に連れ戻す。
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そんな風に、匂いというものが記憶と一番相性よく残っているものだと思っていた。

でも最近、光だったり、風だったりに
間歇性記憶の元を感じたりする。
ちょっと鉱物化してきているのか、私。
【2007/10/08 00:13】 | 日々雑記 | トラックバック(0) | コメント(4) | page top↑
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コメント
匂いに引きずりこまれて、タイムスリップすることはありますね。
でも、わたしの場合、光・風を感じているときに、匂いもともにあります。
その組み合わせでどんな時代へも飛んでいける。
【2007/10/08 22:51】 URL | ゆずみかん #-[ 編集] | page top↑
散歩してたら風にのって金木犀のいい匂いが。
顔をあげたら塀のむこうに立派な木があった、
いつも下ばっか見て歩いてるから全然気づかなかった..
実家に植わってる数少ない木のひとつが金木犀、ちょっぴり
実家に帰りたくなりました。
【2007/10/09 16:37】 URL | ぽにぃ #-[ 編集] | page top↑
そうだね、
匂いだけじゃなくてそのときの光・風も一緒だね。
金木犀は特に連れ去られるよねぇ。
何年も一度にざばーんと
何年分もの秋がやってきたりして困ったりします。

私もぽにぃみたいに実家の台所の出入り口の辺(むっちゃ限定されてるところが^^)を思い出すなぁ。
もう、跡形もないけれど。
【2007/10/10 06:16】 URL | 禰子 #-[ 編集] | page top↑
木屑をふりかけといって差し出してくれる大工さんは、すばらしい。その大工さんも、あなたが学校から帰ってくるのが楽しみだったと思う。桧の小割りしたのを買ってきて、部屋に置いてます。もう匂いはしませんが。
【2007/10/19 03:46】 URL | 近江俊助 #-[ 編集] | page top↑
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