風の道
『竹の道けふ風の道さやさやと在るを素直に嘉(よみ)せよと過ぐ』 蒔田さくら子

関西短歌人会の年末の忘年歌会に、
短歌人会の大・大・大先輩、蒔田さくら子さんがお見えになられた。
関西短歌人会は、無記名のまま評が行われ、
得票が発表されてから一番最後に詠者発表がある。
なので、この歌が蒔田さんの歌だと知るのは最後の最後なのだが、
まるで自分のために詠んでもらったと思いたいくらい、
そのときの私にはありがたかった。
いまでも何度でも頭の中で反芻してみる。
言靈(ことだま)というのがきっとあると思うのは、
いい言葉を口にすれば、身体も心も浄化されるような気がするし、
悪い言葉を口にすれば、それが身体を通って心にしみ込んでいくような気がするからだ。

『在るを素直に嘉(よみ)せよと過ぐ』
なやんでいることがたくさんあった。
あった、というより今も解決はしていない。
解決することがあるのかどうかもわからない。
それでも、
『在るを素直に嘉(よみ)せよと過ぐ』
それでいいのだと言われたような気がした。
都合のいい解釈かもしれないけれど。

長生きしただけで、何かを見つけられるわけじゃないと思うけど、
長生きしないと見つからないものもあると思った。
今まであんまり長生きをしたくないと、ずっと思っていたけれど、
生きていたい、そう思った。

世界中のどんな不条理にも打ち克つ術があるとすれば、それは
『在るを素直に嘉(よみ)せよと過ぐ』という方法でしかないような気がする。
ただ、『嘉(よみ)せよ』じゃなくて、嘉(よみ)せよと『過ぐ』なのだ。
ここで視界が無限にひろがる。

青臭いですか?
青臭くてもいいじゃないですか。
わかったつもりの言葉たちより、
その実感を手に入れることだけが生きる意味。
私には、まだまだ程遠いけれど。
程遠いけど、そこにそれがある、
そう分かっただけでも生きていけそうな気がした。


---
蒔田さんは、年齢をちっとも感じさせない、
本当に素敵なお方だった。
歌の持つ力というものに、しみじみした冬のはじめのことだった。

shimotera3.jpg






【2008/01/20 00:39】 | 日々雑記 | トラックバック(0) | コメント(4) | page top↑
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コメント
ほんといい歌ですね。

『いい言葉を口にすれば、身体も心も浄化されるような気がするし、悪い言葉を口にすれば、それが身体を通って心にしみ込んでいくような気がするからだ。』

心と体を結ぶ言葉。ヒトとヒトを結ぶ言葉。
不自由な道具だけど日本人は日本語を使う。
その場、その場で発せられる言葉は
内なるエネルギーの塊。
そしていったん発するともう戻れない。


自分の心を動かす言葉や歌、絵、音楽、芸術。
自然、動物、そしてそれを包んでいる地球・宇宙。
そのとき、そのとき感じたことを大切に
それをまた言葉にして伝えること。

続けて生きたいと思います。

【2008/01/20 10:02】 URL | 加速装置 #-[ 編集] | page top↑
しんみり
歌のことは あまり分からないけれど・・・
なんだか 私のイメージする短歌っぽくなくて、いい歌だなーと思いました。
今 あるがままに 満足して生きるって 何でできないんだろうなー わたしの場合。

今 宇宙語の息子が ただ 生きてるだけで、とっても幸せそうで、いろんなことに欲のある私を 不思議そうに見つめています・・・

【2008/01/20 20:45】 URL | ベルメ #-[ 編集] | page top↑
 『過ぐ』かぁ・・・。
 なんか、ふっと力が抜けて景色が変わる気がします。

いい歌を教えてくれてありがとう。

 いま、外は雪が降ってます。
『積もりますように』 (子)
『積もりませんように』(母)
【2008/01/20 22:26】 URL | ゆずみかん #-[ 編集] | page top↑
>みなみなさま

この歌を、わたしの大切な人たちにも触れてもらいたい、と思って載せました。

感じていただけてうれしいです(^-^)
【2008/01/24 18:56】 URL | 禰子 #-[ 編集] | page top↑
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