爪切りさん
冬をゆく爪切りさんの足音がいつもよりやさしくて、さしだす
                          笹井宏之 「ななしがはら遊民」より


笹井宏之さんという歌人が、この前の土曜日に26歳という若さで亡くなった。
インフルエンザをこじらせての心臓麻痺、ということらしい。
あちこちのブログや、新聞のオンライン記事からの断片の情報なので、
詳細はわからないが、亡くなったということだけは確かだ。
今まで名前を聞き知るくらいで、年末入手した同人誌「風通し」で、
初めて「ななしがはら遊民」という30首の連作を読んだ。
だから、笹井さんについてなにかを語れるほどのなにもない。
でも、その不思議な30首はなぜかこころのかたすみに残ったままだった。

会うことも見ることもない世界中の人たちが、
今も生まれたり死んだりしている。
喜ばれたり、喜ばれなかったり、惜しまれたり、惜しまれなかったり、
そういう周囲の反応・環境にまったく関係なく、生まれたり死んだりしている。
それはよくわかっている。

でも、たとえほんのちょっとだけでも見知った人が
生まれたり死んだりすることはやっぱり、
うれしかったり、くやしかったりする。
世界も大事だけど、
やはり実体というのは実感がつくりだすから。


風をのみ川をひらいて朝焼けの、どこにもいないひとになります
                          笹井宏之 「ななしがはら遊民」より





【2009/01/28 02:11】 | 歌会・その他短歌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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