鵞卵亭日乗
買い求めたい本があったので、19時過ぎにささっと退社、
久しぶりに難波の本屋さんへ行く。
他にも、前から買おうと思ってなんだか買えずじまいの現代歌人文庫「岡井隆歌集」を購入。

対談集も数冊出ていたが、もともとどこかで連載していたものを、
改めて購入するのがちょっとくやしく(苦笑)今日は見送った。

そして、やっぱり気にならないと言えば嘘になる岡井隆の出奔事件。
スキャンダルと歌は本来別物なのはよーく分かっているが…
と書いてみて、本当に「よーく分かっている」のか自信がなくなってきた。
作品(作中主体)と作者はイコールではないのは当然の理なのだが、
それは頭では分かってはいても、本当のところ理解しきれているだろうか。
自分では本当にはまだ解決できていないようにも思えてきた。
「実感」としての自信がない。

ぱらぱらっと読んだ(買わなかったほうの)本で、
なぜ、九州に逃げたのか、という問いに、
どこかで死ぬことも視野にいれていたのでしょうね、というようなことをさらりと答えていた。

物語としての「岡井隆」あるいは、もっとひろげて「物語」を書く、詠む、有名無名の作者、
それは実在の人物ではないと承知しつつも、
たとえば村上春樹が「ワタナベ君」じゃないと承知しつつも、
あの物語の断片に避けようもなく「村上春樹」を感じるように、
やはり歌の中には作者がちりばめられているから…
物語の中に作者の欠片をみるときに、読者は昂揚する。
それをノンフィクションではなく私性というのかな。
うー、当たり前のことしか書いてないな、わたし。

というわけで、
なんで今頃、な感ありですが、せっかくなので印象に残った歌たちを下記します。

---

 荒海を見る十幾組のことごとく愛ありて来し 沖はとどろく

 子殺しにちかしとぞいふ一語をもななめ書きして手帖古(ふ)りたれ

 顔を脱(ぬ)ぐごとくいかりを鎮めたるその時の間も黙(もだ)しつつ越ゆ

 なぜかかる暗き境に逐はれては笑(ゑま)ふ 沖辺は寒(かん)の漁火(いさりび)

 生きがたき此の生(よ)のはてに桃植ゑて死も明(あ)かうせむそのはなざかり

                             岡井隆「鵞卵亭日乗」より
【2009/09/24 23:55】 | 日々雑記 | トラックバック(0) | コメント(3) | page top↑
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コメント
九州へ逃げたというのは、自身が言っていても、実は形作られた言い方になっているのだと思う。

仕事があったわけで、今の失業蔓延の時代からしたら、贅沢の一形態です。本人にもその認識はあったはずで、一部分として、逃避したという気持ちもあったと。

茂吉が長崎へ行ったことも念頭にあったでしょうね。

このひとは、狸なので、平気で違うことを言う。
生きがたき此の生のはてに、なんて恥ずかしげも無く言う。

【2009/09/25 23:08】 URL | 知哲 #hurAyYjo[ 編集] | page top↑
禰子さん

今晩はv-34

対談集、実はさっき私も岡井隆・小高賢の対談集を、買おうかどうしようか考えていたところなんです。

小池さんの『岡井隆』を読んでから、岡井隆の歌の凄さがわかるような気がしてきました(笑)v-22
【2009/09/26 00:36】 URL | ラマーレ #-[ 編集] | page top↑
■知哲ちゃん

そうだよねー。仕事がちゃんと用意されているところに行くのに出奔とは言わんわなー(笑)確かに。

■ラマーレさん

>岡井隆・小高賢の対談集
そうそう、それです!

>小池さんの『岡井隆』
そっかー、そんなのがあるんだ。
勉強不足です~。
【2009/09/29 00:35】 URL | 禰子 #xNtCea2Y[ 編集] | page top↑
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