5月前半の前半―「蔵番」としての冷泉家―
なんだか慌しく過ごしているうちに、きっとまた書けなくなってしまいそうで、
思い出したことからぼちぼちと。
ちょっとだらだら文です。ごめんなさい。

5月に入って最初の日は、前々回エントリの中之島は東洋陶磁美術館へ。

2日は関西短歌人会歌会(上本町)。
いつもながらに面白い会そしてやがてかなしい(愛しい)会。
GWなのでいつもの半分強の11名。
そしていつも思うけど、知らない人が見たら、絶対に「短歌」じゃない人たち(笑)。
年齢バラバラ・年齢不詳・職業不詳・性別不詳?で、一瞬新興宗教かとも思えなくもないが、
いわゆる新興宗教的な統一感は皆無(←ここ太字!)だし、ほんとにこの人たち。
ん?そういう意味では今行っている学校とおんなじやん…(><)
えと、私は怪しくないので!!(ここは私のブログですからきっぱり宣言するものです)

3日は京都へ。
この日はちょっと無謀のリベンジ計画があった。
博物館3館ハシゴ計画Vol.2(別に命名してなかったけど。今つけました)
去年の同じく新緑の季節に一度挫折
でもほんとはリベンジということではなく、この季節、どうしても行きたい展覧会が多いのでこうなってしまっただけなのですが、歌詠みとしては直筆見てみたい。どうしても。ということで、まずは「冷泉家 王朝の和歌守(うたもり)展」の開催されている京都文化博物館へ。
烏丸御池の駅を上った喫茶店で、早くも余裕の喫茶タイム(すでに10時半、目測を誤ってないか~い?)。
これが案外居心地の良いテラスで、ちょっとゆっくりまったりしてしまう。
よくある完全オープンタイプではなく、屋根もあるし、ウッドデッキだし、道路より少し高い、でも開放感はある、ということによると思われます。

20100503_111155.jpg

何気なく交差点プレートを見てなんだか違和感が。
「【り】アリと【り】ナシが!!あ!こっちは【り】アリやん!!」
妙に興奮気味の私に???な同行人。
そ、揃えたい・・・【り】アリか【り】ナシかどちらかにちゃんと統一したい・・・ぅ゛
すみません、軽い職業病です(元職業病、か 笑)。

20100503_105318.jpg
20100503_105336.jpg

どうですか?みなさん、おわかりですね?
(望遠で撮ったため、どうも肝心な部分がブレてます(・ ・;)
その後も、他の交差点をチェックしましたが、この日見た交差点ではすべて【り】アリでした!

で、展覧会。
定家の直筆を、その墨の鮮やかさと筆致を、八百年の後の今まだ放たれている力を 感じる。
これだけ膨大な一級品の歌集・歌論書などなど国宝やその他それに匹敵するものを、
目にすることができる、ということの奇蹟はひとえに冷泉家が「蔵番」(当主の言)としての役目を徹底した賜物だ。
スキャニングの技術、印刷の技術、版木の技術がない昔、文字を伝達するためにはひたすらに「書き写す」ことしかなかった。そしてその書き写したもの、だけでなくそのこころ、も伝えようとして定家は名月記など膨大な文字にそれらを込めて残した。
だから、その過去からの宝物を保存する蔵を神殿とまでいう彼らは「和歌守(うたもり)」であって、今回の展覧会の題そのものも「冷泉家―王朝の歌人展」ではなく「冷泉家―王朝の和歌守(うたもり)展」だ。
そう、彼らはすでに歌人ではないと、彼らも、主催者も公言したのが今回の展覧会の題名だと私は思った。

図録の挨拶で、婿養子に入った冷泉家当主の言葉にその苦悩をみた。
普段のことを知らないし、冷泉家についても殆んど無知の私だけど、
冷泉家、ができることは何か、格闘した痕跡を少ない文章の中にみた、ような気がした。
「『古来風躰抄』を見ていたある瞬間」に「冷泉家の蔵番」に徹しようと強く思ったいきさつと、
冷泉家に婿養子に来たことにたいする自問自答の回答が得られず悶々とした日々のことを巻頭に書いている。

反対に、その直系?である夫人の巻頭の言には気持ちがむなしくなっていくのを止めることが出来なかった。
「現代短歌」を「少しでも人とは異なる表現を捜し、必ずしも五七五七七にならなくても、自分らしさが表れているものを良しとする。人は喜怒哀楽を表したいものらしい」とし、「歌会は公の場です。そこにあからさまな私情を表現するのは最も下品」といい、そのすぐあとの文章で「明治に「文学」を受け入れ、宮中さえも芸術になった後も、細々と「和歌」を守り続けて来たのが冷泉家である。」とおそらく美智子さんの歌などを和歌ではないのだと高らかに否定して冷泉家のその正統性で結んでいる。
音声ガイドで冷泉家夫人の声を聞いた。
夫人が一番大切だと言い切る「披講」も…。
「守っている宝」と、それを「守っている人」の違いについて思う。
当主夫人の言う「神さん」定家の本歌取りの技法は、いにしへの言葉で、そのたましひ、をつなぎつつも、否応のない今、を詠いなおすことであると私は思っていたから。

とはいうものの、勉強不足の私が八百年も守り続けたものにたいする疑問をこのように書いても、
(いや、守り続けたものにたいしてではなく、今の(しかも主に当主夫人の)姿勢についての疑問ではありますが)自分でも説得力のない反抗期の娘の戯言のように思う。
せっかくなのだから、その一端をもう少し勉強してみようと思います。




【2010/05/10 23:45】 | 歌会・その他短歌 | トラックバック(0) | コメント(11) | page top↑
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コメント
私も冷泉家展(略していいのか?)には行きました。
しかし、なにやらすごいなあと思っただけで、そこから発展するものなし。一首もできず。
禰子ちゃんは、ばーっと文章に出来て凄いと思います。
うらやましい。ほんま、あたしは鈍いのかと思う。

いよいよ例のものがパンク寸前で、こちらもいつ応援(のつもり)に行くのか、ドキドキハラハラの状態です。爺は金曜からNY行きですと。
【2010/05/11 01:30】 URL | かすみ #v28RnTd6[ 編集] | page top↑
これは、見て。みたい
定家の直筆を、その墨の鮮やかさと筆致を、八百年の後の今まだ放たれている力を 感じる。

勺の文体が強く、この【定家】は、機会あれば、ないが、見たい。
【2010/05/11 14:37】 URL | 矢嶋博士 #WGj0Orxo[ 編集] | page top↑
冷泉家展
展覧会もそれから春の特別拝観でGWの頃短期間冷泉家の建物も公開していて見に行きたかったけれど、GWは出かけにくい時期で行けませんでした。
私は展覧会のほうよりも建物に興味があるほうなので冷泉家の古い建物を見てみたかったのです。
当主夫人の発言は?です。
かなりかたくなに正当性を訴えなければ続かないくらい実体が薄いのではと(厳しい言い方ですが)
冷泉家の血を受け継いで現代とはかけ離れてしまったものを守り抜かなければいけない辛さがあるのでしょう。
私も冷泉家について何も知らないので、禰子さんの文で直感的に思っただけということでこれ以上の発言は控えさせていただきます。
【2010/05/11 16:44】 URL | 沙羅 #XrwkbYLc[ 編集] | page top↑
■かすみさん

おお!例のものが!この季節に生まれる命は、祝福されているような気がします。
それにしても忙しい爺やなぁ(><)
カスミンには、新しい世間的には「らしくない」グランマ歌を詠んでもらいたいです。
勝手な読者より。

■ヤッシ

是非観にいかれたし。
是非に。なんとしても。必ず、行くように。

■沙羅さん

そうですか、そんな公開もされていたのですね。
いつもいろいろなところにアンテナを張られていて尊敬します。
【2010/05/12 22:03】 URL | 禰子 #xNtCea2Y[ 編集] | page top↑
京都かあ^
とおいなあ。
で、
あのテラスで
茶を飲んだら
ちょっとは

文学的かしら。
【2010/05/12 22:16】 URL | 矢嶋博士 #WGj0Orxo[ 編集] | page top↑
Teika's Calligraphy
WEbでみた。

なかなかの、書やな。
初めてみたけど。
これなら、許せる。そうとう、ヘンなやつやな、定家、やくざっぽい男くさいやつらしいな。この書から。判断するに。自由に、しとる。わ。おおらかな晴れた大空の雲のような。書やな。おーいにゆるしちゃおー。

これは、読める。で。
歌人では、特に現代歌人で、いい字書けるのは、ほんの一、二人やし。
【2010/05/14 15:08】 URL | 矢嶋博士 #WGj0Orxo[ 編集] | page top↑
Orikuti's Callgraphy
チョークーの書もいい。

自由に、知性が爆発して、しかし、よく、抑制されて、なお自由に、ふでがゆく。

相当な、速筆で、逡巡がない。

見事なものです。虚飾のかけらもない。むきだしのたましい。それがチョークーの書だ、歌も論もか。いうまでもなく。
【2010/05/14 15:14】 URL | 矢嶋博士 #WGj0Orxo[ 編集] | page top↑
■ヤッシ

定家の字を見て、
こんなヘンコな字を書く人が、子孫の言ふ
「個性を出すことはだめ、花鳥風月をいかに美しく詠むか、だけが命」
なんて思ってたわけないと思うで、わたし は。

名月記、ちょっと感動しました。

ちょうくう、の絵はご覧に? 矢嶋氏。

名月記の定家
と同じ、で
折口も、民俗採訪スケッチの必要から、
速記の必要があった、はず。
二人とも、職業人 というよりなんだろう、
必要に迫られ無駄なものがそぎ落とされた字 に込めている。
たぶん、文章も、湧き出てくるものの速さの必要性に駆られれば駆られるほど、
そぎ落とされて。
【2010/05/14 21:30】 URL | 禰子 #xNtCea2Y[ 編集] | page top↑
Orikuti's Drawings
新潮社のアルバムとかいう本に絵が何点かあった。

んまい。

一級品であります。韻韻としてをります。うまく描こうなど、微塵も思っていない、神韻たる薫りたっている。
【2010/05/15 01:29】 URL | 矢嶋博士 #WGj0Orxo[ 編集] | page top↑
名月と明月
定家のは明月記でしたね。
【2010/05/16 15:05】 URL | 矢田野 #-[ 編集] | page top↑
■矢田野さま

ありゃりゃ、確かになんかヘン?と思いながら、
変換ミスに気付かず(><)

名月は見ながら一杯やるやつでしたv-305

ん?
【2010/05/16 15:17】 URL | 禰子 #xNtCea2Y[ 編集] | page top↑
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