生駒あるくみるきく【7】 道に出てきたお地蔵さま
いやはや、またまたブログアップしてませんでした(^-^;
で、「生駒あるくみるきく」に至っては、
なんとまあ、9か月も放置しておりましたm(_ _)m
その後、おかげさまで第10回まで無事連載しましたので
これからまとめてアップいたします。
来年で100年を迎える宝山寺新参道については、
これからも歩いて見て聞いて、書きとどめていくつもりです。
この道に関わるどんな些細なことでも結構ですので、
ご存じのことありましたら、教えていただけましたら幸いです。

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大師堂改築中の仮住まいでも丁寧に祀られているお地蔵さま(2013年1月26日撮影)

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 生駒あるくみるきく【7】 道に出てきたお地蔵さま  勺 禰子
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■鈴の音
朝、生駒駅へ急ぐ通勤途上の人の中にも、立ち止まって鈴を鳴らす人が少なくない。買い物の行き帰りに、資源ごみを出しに来たついでに、散歩の途中に、朝晩の日課に、あるいは日曜ハイカーも、昼となく夕となく、そこを通りかかるたくさんの人々が手を合わせてゆくお地蔵さまがある。
宝山寺の参道筋沿いにある生駒市山崎新町の3体のお地蔵さまは、生駒大師堂(民俗通信213参照)の改築が始まってからは近くの民家の庭先で新しい大師堂の完成を待っている。仮住まいの祠(ほこら)には、以前と変わらず花が活けられ、まわりはきれいに掃き清められている。この道を使って生活をしている人たちの日々の祈りの場になっているお地蔵さまには、ちょっとした物語があった。

■川から参道筋へ
地元で生まれ育った年配の人たちによると、参道筋とケーブルの間を流れている川のほとりにぽつんとあったお地蔵さまは、50年ほど前に隣りの広場に宝徳寺(韓国寺院・民俗通信208参照)が移転してきたのをきっかけに、生駒大師堂の軒先に移されたそうだ。
もといた場所から引っ越しを余儀なくされたお地蔵さまだが、参道筋という新道に出てきたことで、お参りをする人が増えたという一面もあった。「川のお地蔵さま」は、「道のお地蔵さま」として信仰圏を拡げたと言える。
大師堂の方も、お地蔵さまに軒先を貸したことで、地元の婦人会や子ども会がお地蔵さまのお世話とあわせて大師堂の掃除をするようになり、以前よりにぎやかになった。こうしてお大師さまとお地蔵さまが仲良く並ぶ光景が参道筋になじんでいった。

■地蔵盆と数珠回し
地蔵盆は、地蔵菩薩の縁日である8月23、24日に行われる子どものための行事で、特に関西で盛んと言われる。山崎新町でも23日の朝早くから、町の人たちが大師堂前の道の両側に提灯を張り巡らせてゆく。赤・白・青に彩色された提灯には、「地蔵尊 山新講 たまゆら会」という文字と、それぞれ子どもたちの名前が書かれていて、あたりは華やいだ空間に一変する。
自治会長の巽恒雄さん(73)は、「地蔵盆の日には昔から〈数珠回し〉言うて、子どもらが大きな数珠を持って順番に回して、お年寄りが鉦を叩きますねん。今は子どもの数は10人ほどになってしもたけどなぁ」と教えてくれた。息子さんや娘さんの幼かった30年ほど前は、子どもの数はもっと多く、数珠回しは大師堂の中でしていた。大師堂が老朽化してきた近年は、向かいの工場の敷地を借りて執り行っている。「今年の夏は新しい大師堂の中で数珠回しできるかなぁ」と、巽さんも大師堂の完成を心待ちにしている。

■日々の祈り
お地蔵さまの小さな祠は、郊外の古い集落や古都の町中はもとより、オフィス街のビルの谷間や、商店街の中などあらゆるところに根強く残っていて、それらをよく見れば、赤いよだれ掛けは真新しく、手向けられた花はしおれていないことが多い。山崎新町のお地蔵さまも、いつも新しい花を活けられるだけのお賽銭はたまっているそうだ。
「地蔵」という言葉はサンスクリット語の〈命をはぐくむ大地〉が訳されたと言われ、地蔵菩薩は〈弱い立場の人々を救済するための永遠の修行者〉を意味する。そんな難しいことを考えなくても、くらしの中で自然に発生する祈りの対象として、お地蔵さまは各地で生き続けている。

■変化を見守る
年月が経てば個人の建物は建て替わり、町並み全体が姿を変えてゆく。それに対して道自体は、再開発や自然災害などがない限り大きく変わることはない。お地蔵さまも時に思わぬ引っ越しをするかもしれないが、基本的にはその地域の守り神として、土地の記憶を刻みながら人や町の変化を見つめ続ける。反対に変化した町にくらす私たちは、ずっと変わらないお地蔵さまに手を合わせることで、土地の記憶をいただいているのかも知れない。

(しゃく・ねこ 歌人、ささぶね編集工房)奈良新聞2013年2月1日掲載
【2013/10/15 20:16】 | なら民俗通信 & 記事 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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