短歌人 2016年4月号  音がゆれる
音がゆれる

ことば生む手だてはいつもキーボード子音母音を縫ひあはせつつ

シャットダウンせぬまま寝ぬる夜の居間にメール降り積む気配はみちて

鉾流神事のみそぎ済む川に覆へぬものが映しだされる

湿度低き初夏の川辺に紙ふぶき踏みしだかれぬままひかりをり

気がつけば階(きざはし)のうへに並びゐて青磁梅瓶(めいぴん)の前に語りぬ

そのむかし千三百度の熱を持ち焼かれしものが並ぶ涼しさ

うつそみの獅子の歯音に祓はれて悪魔はひそむ水都の底ひ

気がつけばといふは言葉のあやである 歩みを止める意志はなかつた

大川の水のちからを受けとめて橋には橋のうごきありつつ

夕照に川面きらめきそのうへの天神橋が消える束の間

満月はあるべきやうにみちみちて時機をうかがふことなどしない

東から君が見上げし満月のひかりに撫で上げられし快楽

欠けてゆく月の放てる音を聴き祓はれしものら峠に向かふ

キーボードに引き裂かれゐし子音母音なつかしみつつ君の名を呼ぶ

ときどきは峠で耳を澄ますこと月に射されたままのからだで

勺 禰子(しゃく・ねこ)

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【2016/03/29 22:43】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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