短歌人 2018年2月号  父のジャケット
右足のふくらみを綿で創り出す「清浄整姿」の有本さんは
 
こんな格好で母に介抱されてゐた酔つて帰つてきた夜更けなど
 
ツイードのお気に入りのジャケットを着せられて寝てゐるやうに死んでゐる父
 
ナッキンコールのトゥ・ヤング流し夜伽する父の歌声思ひ出しつつ
 
17番基火葬炉のボタン恙なく押されて朝一番の骨上げ
 
焼け落ちた枕の高さ分だけを下顎骨は真上を向いて
 
先にあの世にゆきし右足取り戻し盃重ねてゐるなり父は
 
勺 禰子(しゃく・ねこ)

papas.jpg

【2017年11月28日付 会葬礼状】

「おつかれさま、やっと楽になったね。
天国で美味しいお酒を存分に飲んでくださいね」

前日の日曜日、大相撲九州場所千秋楽を見て楽しんでいましたね。
その後、好きな魚の煮付けを食べ、いつもどおり就寝しました。
翌十一月二十七日、午前三時頃、
「よく眠れなかったので、いつもよりゆっくり寝る」と言いながら、
結局、六時半起床、七時過ぎにいつもどおり血糖値を測り、
インシュリン注射をし、朝食の準備をしました。
自家製梅干しと漬物でお粥さん、
大阪の老舗「神宗」の昆布をほんの少々、
デザートに缶詰のみかんを食べました。

それから、しばらくしたとき、
「うー」という声が聞こえ、
慌てて部屋に見に行くと、仰向けに倒れていました。
それが、最後でした。

いろいろな病気のおかげで、食事制限が大変で、
食べたいものばかり食べていいわけではありませんでしたが、
この日の朝食は、本当に好きなものばかりでぺろりと完食しました。
最後に、好きなものをお腹いっぱい食べて、旅だったお父さん。
天国では、先にあの世に送り出した右足を取り戻して、
美味しいお酒を存分に飲みに行ってください。

生前多くのご厚情を賜りました皆様へ、
深く感謝を申し上げます。
今後とも今までと変わりなきご厚誼を賜りますよう、
よろしくお願い申し上げます。
本日のご会葬、誠にありがとうございました。
略儀ながら書状にてお礼申し上げます。
【2018/01/30 00:22】 | 短歌人誌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
<<短歌人 2018年3月号  恋の顛末 | ホーム | 短歌人 2018年1月号  まみれる>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
→http://chipoo.blog84.fc2.com/tb.php/882-f8aff6ff
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |