夏の空
『一点の曇りなき空 咎という言葉たくみにかくされている』 禰子

もののけ姫』でアシタカが、
呪いを引き継ぐ原因となった鉄のつぶての出処を探しに西へ向かったとき、
真実を知ってそなたはどうする?と問われ、
「曇りなき眼(まなこ)で見定め、決める」と言った。
タタラ場の女主人・エボシ御前は、
「曇りなき眼・・・アハハハッ、 わかった。 ついてこい」と
真剣な眼でその言葉を聞きながらも、一度高笑いする。
そして、鉄のつぶてをつくっている場所へアシタカを連れてゆく。
この国で何が起こっているかをみせるために。

「曇りなき眼」なぞどいう青臭い言葉を、真剣に吐くアシタカ。
「曇りなき眼」が本当には、あまり有り得ないことを十分に知ってきていて、
それでもその言葉を放つアシタカを信じてもいいと思うエボシ。
それぞれに立場も了解の仕方も違うかもしれないけれど、
「曇りなき眼」の力について知っている、知ろうとしている。
そういう、さりげない場面にも、
自然な流れの帰結としての言葉があてはめられていて、
この映画を深いものにしていると思う。


一つ歳を重ねた。
いままでふわふわと浮いてまとまりのなかったものたちが、
少しずつ方向を見定めてきた、ように思うときもある。
でも、アシタカの透明さも、エボシの強さも、
それはある種のイデアのように屹立しているもので、
弱っちょろい人間のわたくしは、
そのイデアを少しだけは感じられるものとして、
曇りなき空とまったき太陽をみると、少しどきっとする。

『全力を尽くせ!と夏の太陽に心残りが言わせておりぬ』 禰子


【2007/08/12 08:58】 | 日々雑記 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
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コメント
この夏の曇りなき蒼天は、不思議な気持ちを抱かせます。

夏空に秋の空が混じり合ってたためでしょうが、高く静謐で降り注ぐようなものがあります。

そのうえ、何か「さあ上へ、上へ!」と、高みにいざなうようなものも感じます。

全力を尽くし 高みにのぼれ と夏の空は無言   
【2007/08/20 12:41】 URL | 矢田野三郎 #-[ 編集] | page top↑
静謐な空は、足すものも引くものもなく無言ですね。
足したり引いたりいろいろしないと回らない地上人間は、吸い寄せられるような魅力と同時に、見透かされているようなおののきを惹起させられます。
私だけかも、ですが。
【2007/08/21 12:58】 URL | 禰子 #-[ 編集] | page top↑
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